本当にまた明日な……><
十二章―極道の終焉#10 荒川真澄と春日一番
3K作戦以降、堂島大吾や真島吾朗、冴島大河を匿っていたのはニック・尾形だった。
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そして今日、春日は荒川真澄とサシで会う。
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荒川真澄は40年ぶりにもなる星野会長からの誘いがあり、春日とのご飯はなくなってしまった。
※春日との話が終わった後、星野会長とご飯を食べる……はず。
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100年続いていたものが急に無くなってしまった。
近江の組員たちも、街のカタギのみんなもまだ戸惑っているという。
解散届をあれだけの大人数で止められなかった。
奴らのメンツはあの一件で丸潰れ、跳ね返りが暴れたところでたかが知れている。
先を見越す余裕なんて荒川真澄にはなかった。
ここまで上手くいったのも、やれることをやった結果だという。
青木遼は怒っているだろう。いや、怒り狂っているはずだ。
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東城会を売るよう迫ってきたことで、その計画が早まったって見方もある。
荒川真澄「真斗は……自分の権力が膨れ上がる味を知っちまった」
いい加減デカくなり過ぎる前に止めてあげないと、あいつは身を滅ぼす。
きっと、手にしたものすべてを失ってしまう。
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堂島や渡瀬たちは組織を解体した後、やっぱり極道でいるしかないって人間が山ほど出ると思っている。
実際にその通りで、そんな奴らのため、いずれなにかしら合法的な受け皿を作りたいと言っていた。
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荒川真澄「その時機が来たら、俺もそれを手伝ってみたい」
春日一番「なるほど……じゃあ身体は空いてるんですね?」
荒川真澄「何して時間つぶしていいか分からないってのは、定年迎えたサラリーマンの気持ちなのかね」
春日一番「ならこれからまた俺を……親っさんの子分にしてくれますか?」
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春日一番「16の年に命助けてもらって以来……ずっとです」
荒川真澄「俺はお前を……真斗の代わりにムショに行かせたんだぜ? 18年もだ。組織の為だと嘘までついて」
春日一番「でも、納得して入ったんですから」
荒川真澄「そのうえ、出所してきたお前を……俺は銃で撃った」
春日一番「でも助かると見込んでのことですもんね」
荒川真澄「お前が生きて戻ってきたのは……」
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荒川真澄「俺がお前にしてやれたことなんていくらもねえ……。いくらもねえどころか……恨まれてもしょうがねえことしかやってねえんだ……」
春日一番「じゃあ俺に少しでも悪いと思ってんなら……また俺を子分にしてくださいよ!!」
荒川真澄「なあイチお前……ソープの桃源郷で生まれたんだってな?」
春日一番「そうらしいです……」
荒川真澄「でもすげえ話だよな……。俺にはその話がトラウマになっちまってる。夢を見る時があるんだ」
春日一番「夢……ですか?」
荒川真澄「ああ……。40年前の大晦日……茜が……あいつが赤ん坊を産んでいる場所は……桃源郷なんだ。真斗がソープで……そんなわけねえのによ」
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荒川真澄「恥ずかしいことなんてねえ。お前は地に足を付けてしっかり生きてる。生まれた場所なんて関係ねえ。会いてえか? 父ちゃん母ちゃんに……」
春日一番「どうなんすかね……分かんねえっす。知らねえことがもう当たり前なんで」
荒川真澄「苦労したんだもんな……。俺が言えた義理はねえが……夢で見た話なんてのは……まったく不毛だな」
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十二章―極道の終焉#11(終) 翌日の朝
荒川真澄の妻―茜さんが産んだ赤ちゃんが入れられた場所。 しかしその結末は、より悲しく辛いものだった。 [adcode] 十三章―コインロッカーベイビー#1 […]