この章で異人三の仕組みが分かりますね(´゚д゚`)
敵味方は分からなくなるけどw
八章―漂泊の裏側#1
組織同士の抗争が本格化する寸前にも関わらず、別世界のように集まる異人三トップの三人。
三人が揃うのは年に一度あるかないかだと星野会長。
しかし肉の壁の均衡を保つため、情報を共有する必要があればこうやって会うこともある。
☆
星龍会は若いモンを二人、蜂の巣にされた。
横浜流氓は庭先までカチこまれた。
こうなった以上、先に引いた方のメンツが潰れるから簡単には止められない。
何の理由もなく矛は収められんと星野会長。
☆
人が死ぬまで荒れている中でのこの状況に、春日は納得できなかった。
こんな馴れ合いごっこをしてるのは下の連中は知らない。
春日「あんたらそれで平気なのかよ!?」
星野会長「春日よ……自分の物差しで勝手なことばかり吠えてんじゃねぇぞ」
春日「でも会長、高部のカシラは今この趙が拉致ってて……」
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趙は帰す口実があればすぐにでも開放したいくらいだと言う。
またいつ死人が出るかも分からないからこそ、にらみ合いの状況が必要だと星野会長は言う。
兵隊らが本気でにらみ合ってこそ三すくみ。
均等な三角形は外部からの圧力に対して高い強度を持つ。
日本も独裁の構造から三権分立になった。
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この街の構造が生まれたのも戦後の話だと星野会長は言う。
混沌に生まれたのが闇市。
そこで初代星龍会が興った。今ある異人町の基礎も作られたといえる。
その頃、わずかに離れた横浜中華街では中国人同士の二つの勢力がその主導権を求めて争っていた。
勝利した一方は今でも中華街で繁盛し、敗れたもう一方はのちの横浜流氓となる中国人たちだった。
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星龍会は承知だった。
コミジュルで刷られた偽札の日本円はすべて星野会長のもとに集められる。
☆
偽札の日本円を刷っていたのはコミジュル。
輸入するための基地は横浜流氓。
それを全て手に入れるのが星龍会。
春日「全員グルだったのか!?」
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荻久保豊の懐の中
異人三が荻久保を支える……それがこの地の歴史だと星野会長。
60年も前、異人町の偽札作りを発案したのは荻久保だった。
荻久保が星龍会の初代と横浜流氓のボスに話を持ち掛けた。
当時の荻久保は市議会議員の一人に過ぎない。
だが荻久保はもともと異人町を縄張りにしていた星龍会と、異人町へ流れ着いた横浜流氓が限られたシマを巡って抗争する様子を見て考えた。
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自分に出来ることを探し続け、出した結論が……偽札作り。
荻久保はまず、敵対する組織同士に共通の利益を持たせるため、偽札作りの役割を分担させた。
異人町の平和には必要だと信じていた。
だから何としても実現するためありとあらゆるコネを使い、紙幣の原料や配合を調べ上げた。
☆
お金を星龍会や横浜流氓に渡しただけでは争いの減る根本的な解決にはならない。
荻久保はそこをよく分かっていた。
荻久保が警察にバラまいた理由……それは警察を意のままに操ること。
お金で警察は骨抜きにされ、気がつけば荻久保の言いなりになっていた。
そして荻久保は警察に異人町のある区域を中心に取締りを厳重に強化するよう指示をだした。
☆
これは単なる治安強化が目的じゃない。
その区域で横浜流氓の人間を星龍会の組員が追い出そうとしても、すぐに警察が動き騒動を阻止出来るようにした。
つまり、抗争が限りなく起きない区域を荻久保は作った。
結果その区域は異人町のグレーゾーンとして保護され抗争は減り、行き場所の無かった横浜流氓はその区域を『最後の居場所』とすることが出来た。
☆
星龍会も偽札作りによって継続的に大きな報酬を手に入れることが出来た。
組員がやらかしても、警察が出る前に荻久保の一言でもみ消してもらうことも出来た。
その上で横浜流氓との抗争で兵隊を失いこともなくなった。
星龍会にも得るものは多く、十分メンツは保てた。
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80年代になってコミジュルもそのグレーゾーンに救われることになった。
かつて韓国人同志が集って”ジングォン派”と呼ばれていた組織がコミジュルの母体。
ジュンギは半年前までそのリーダーの影武者だった。
ジングォン派は幾度となく敵対組織につぶされ、そのたびにちりじりに異人町へ流れ着いた。
ソンヒも幼かった頃、母に連れられてここに来たという。
☆
やがて噂を聞きつけた同胞も増え、徐々に土地に根付いていった。
しかし同胞の数が増えるたび、横浜流氓とのトラブルも増していった。
そして荻久保は手を打った。
コミジュルは偽札作りの印刷の工程を星龍会から引き継ぐよう提案を受けた。
安住の地と収入の保証……その提案を拒否する理由はどこにも無い。
さらに全ての秘密が漏れぬよう、その監視も命じられた。
それが監視システムを作るきっかけになった。
そして星龍会、横浜流氓と共にコミジュルも異人町の一角を担うに至った。
☆
こういう歴史でひとつの秩序が完成し、その発案者も出世した……。
足立「でも感心しねぇな。しょせんは臭いものに蓋をして得た秩序ってことだろ?」
☆
例えば警察はどうだろうか。
星野会長「戦後の焼け野原の日本において、警察とヤクザの関わりを説明できるのか」
明と暗、それぞれが力を駆使し、復興を目指しそれを遂げて今がある。
星野会長「その事実を、否定できるのか?」
☆
ナンバは消えた弟を探すためにこの街に潜り込んできた。
弟を探す手がかりは弟が追っていた偽札を追うことが一番だと思った。
☆
本来ならお前らもこのまま見逃してはおけんと星野会長。
☆
その人物に免じて、お前には目をつむろう。
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教えてほしければ自身の手でナンバを捕まえてこいと星野会長。
☆
偽札の秘密が漏れれば肉の壁は力をなくす。
異人町のグレーゾーンは消えてなくなると趙。
ここに入ってこれない連中ってのは、東城会や近江連合もそう。
つまり、ここのグレーゾーンおかげで命拾いした人間の中にはさ……、
☆
肉の壁の中にいたからこそ近江連合にトドメを刺されずにすんだ。
星野会長「断る前にもう一つ大切なことを言っておく」
ナンバには、すでに刺客を放っている。
引き受けたのは横浜流氓。
捕まえても、出来る限り苦しまないように始末するよう伝えたと趙。
☆
ブリーチジャパンの本当の意味が分かってくる(´゚д゚`) 出番が短いと思っていたらそういうことだったのか……。 [adcode] 八章―漂泊の裏側#2 ナンバの居場所 […]