龍が如くのサブストーリーも面白いものが多いのですが、このお話もすごく良かったです(*´∀`*)
一つの柿の実
異人町端にある静かな広場、そこには大きな柿の木が生えていた。
春日は近づき見上げると、柿が一つなっていることに気づく。
そんな寂しげな柿を見ていると、春日は背後から話しかけられた。
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そこには男性と、車椅子に座る元気のない女の子がいた。
男性「あなたも散歩ですか?」
天気の良いこんな日には散歩をしたくなるもの。しかし車椅子に座る女の子―かなちゃんは元気のないまま。
いつも部屋に閉じこもっていては元気になるものもならなくなってしまう……と、かなちゃんを連れて時々外に出ているという。
しかしかなちゃんは、『どうせ元気にならない。もうすぐ死んでしまうから……』と。
かなちゃん「あの柿の実が落ちたら、私の命も終わりなの」
そんな悲しいことを言って、二人は去っていった。
男性―かなちゃんの父親
マップに青い吹き出しが出てるのを見た春日はまた、あの広場へと足を運んだ。
するとそこには柿の実を見上げるあの男性がいた。
娘―かなちゃんは今、家にいるという。どうやら手術が近くなり、あまり外へ出られなくなってしまったらしい。(さっき……)
かなちゃんは生まれつき体が弱かった。学校も行けず、入退院を繰り返していた。
次の手術の日まで自宅療養しており、体調が良い時は外へ連れ出しているらしい。
そんな生活で、すっかり塞ぎ込んでしまった。
手術を乗り越えるには体力はもちろん、気持ちも大事になる。
気持ち―心は体と密に繋がっているからだ。
父親なりに色々してあげてはいるが、どうやら効果が無いらしい。
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柿の木は家の窓から見えるらしい。しかしその柿を見ては、「あの柿の実が落ちたら私も死ぬの」と言っている。
父親も、柿が落ちたら娘も一緒にいなくなってしまいそうで……と、時間がある時は見に来ているらしい。
せめて手術の日までは……。
そんな話を聞いた春日もまた、あの柿の実に頑張れとエールを送った。
刺客#1
数百メートル離れてマップを確認すると、またあの広場に青い吹き出しが出ていた。
春日は急いでそこへ近づくが、そこにはおかしなことが起こっていた。
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あんなことをされては柿の実が落ちてしまう。
春日が話を聞きに行くと、力士は相撲部屋で稽古が出来なくなったという。
この力士のいる相撲部屋は小さいもので、親方と兄弟子とで三人しかいなかった。
そんな中で、他の力士と飲み会に行っていた兄弟子は一升瓶で頭を殴られてしまったという。
兄弟子は全治三ヶ月。稽古の相手がいなくなってしまった。
力士が言うには、この木が一番兄弟子の感触に近かったと。
木のような兄弟子を持つこの力士は、こいつとだったらもっと強くなれるという。
しかし、そんなことよりも柿の実が大事だった春日は、力で力士をねじ伏せた。
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そんな姿を見る、一人の少女がいた。
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刺客#2
数百メートルダッシュをしていた春日がふとマップを確認すると、またあの場所に青い吹き出しが出ていた。
広場にある柿の木に近づくと……春日は連射された何かの流れ弾を喰らうことに。
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このスナイパーっぽい男は大のミリタリーファンだった。
彼の持つスナイパーライフルは海外から輸入したもので、今日届いたばかり。
ボルトアクション好きにはたまらない一品らしい。
しかしそんなことは春日には関係なかったので、力でねじ伏せた。
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刺客#3
まだ続くんかい! と思った春日を操作する僕は、マップを確認するとまた青い吹き出しを発見する。
近づいて確認した僕は、「へー」と思った。
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彼は……呪うので忙しかった。
彼には同じクラスのヒトミという彼女がいた。
しかし先日、この柿の木の前でサッカー部の先輩とキスをしていたのを見てしまったらしい。
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ムカついた僕は、春日を操作して力でねじ伏せた。
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ヒトミは優しく消しゴムを拾って渡してくれた。
手をギュッと握ってくれただけで、付き合っていると思っていた。
それは実質結婚みたいなものだと彼は言う。
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そんなやり取りを見る……少女が一人。
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加奈子
早くかなちゃんに会いたいと思った僕は、マップをチラチラ見つつ春日を走らせた。
柿を見上げながらかなちゃんのことを考えていると、後ろから足音が聞こえた。
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恐る恐る手術のことを聞いた春日に、父親は自分の後ろに目線を送った。
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そこには自分の足でしっかり立つかなちゃんの姿があった。
かなちゃんはここ最近、窓の外を見るたびに笑うようになった。
手術も上手くいき、歩けるまでに。
そんなかなちゃんは、僕にお礼を言いたいらしい。
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僕「かなちゃんの喜ぶ顔が見れて僕も嬉しい。春日を操作したかいがあったよ」
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追伸.
最後に柿の実を食しましたが……渋柿でした。
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