凍りのくじら――ある意味特殊な本。
理由としては、各章のタイトルがドラえもんのひみつ道具の名前ということ。
あらすじ
藤子・F・不二雄を「先生」と呼び、その作品を愛する父が失踪して5年。
高校生の理帆子は、夏の図書館で「写真を撮らせてほしい」と言う1人の青年に出会う。
戸惑いつつも、他とは違う内面を見せていく理帆子。そして同じ頃に始まった不思議な警告。
皆が愛する素敵な”道具”が私たちを照らすとき――。
感想/レビュー
「あなたの描く光は、どうしてそんなに強く美しいんでしょう」
「暗い海の底や、遥か空の彼方の宇宙を照らす必要があるから。そう答えることにしています」
誰も信じないかもしれないが、もう何年も昔、私はそれに照らしてもらったことがあるのだ。
本作プロローグより
そんな光が本当にあるのだろうか。そして、そこを照らす必要が本当にあるのだろうか。
先に書いた通り、本作は章のタイトルが全てドラえもんのひみつ道具の名前になっています。
それをアニメではなく、現実世界に結びつけて物語が作られています。
例えば第一章――どこでもドア。
普通に考えるのであれば、どこでもドアがあれば学校や職場へ一瞬で行ける、とても便利な道具。
だけど、”辻村深月”さんが書くとこうなる。そういった作品です。
それともう一つ、本作には面白い点があります。
藤子先生曰く、SFというジャンルは【少し・不思議】と話しています。Sukosi Fushigi。
これに因み、SF――【スコシ・ナントカ】という1人ゲームを主人公がしています。
自分自身を含み、登場キャラクターたちをSFで例える、面白いゲーム。
話の作りがリアルで、伏線回収も凄く、感動できる作品。
ドラえもんが好きな人も、そうでない人にも、おすすめしたい作品です。
辻村深月 読む順番のおすすめ
- 凍りのくじら
- スロウハイツの神様(上下)
- 冷たい校舎の時は止まる(上下)
- 子どもたちは夜と遊ぶ(上下)
- ぼくのメジャースプーン
- 名前探しの放課後(上下)
- ロードムービー
- 光待つ場所へ
- ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ
人によっておすすめな順番はあるみたいですが、私は上記の順番で読んでいきます。
【あらすじ・感想/レビュー】